スピリチュアルズ「わたし」の謎(著者:橘玲)

オススメ本
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こんにちは、momonoineneです。

今回は、「スピリチュアルズわたしの謎」という本の内容と感想についてです。

スピリチュアルといっても、魂とか前世とかそういう話ではありません。

精神世界についてですが、ちゃんと科学的根拠のある話です。

この本の内容はとても濃いので、すごく読み応えがありました。

自分を知りたい方、科学的な性格診断が好きな方にオススメです。

それでは、どうぞ。

↑紙の本ですが、電子書籍もあります。

私たちの性格は8つの要素の組み合わせで科学的に「性格」を科学的に解明できるそうです。

パーソナリティ=無意識が創造するキャラクター

それを私たちは「性格」「自分らしさ」というそうです。

私たちが無意識の時も脳は働いていますし、無意識は人によって違うので、それによって性格や個性が変わってきます。

特性はロールプレイングゲームのパラメーターのようなもので、「ビッグファイブ」はそれを5つのパラメーター(特性)として、その値の高低で個性(パーソナリティー)が発生すると考えられています。

この本では、以下8つの特性でパーソナリティを説明しています。

  • 外交的か内向的
  • 楽観的か悲観的
  • 同調性
  • 共感力
  • 堅実性
  • 経験への解放性
  • 知能
  • 外見

以下、おおまかにですが説明します。

外交的だと「鈍感」なので、強い刺激を求め内向的は「敏感」で、強い刺激を避けるそうです。

それは非常に曖昧にグラデーションのように程度にばらつきがあって、偏差値のように分布している(ベルカーブ)そうです。

ちょっと外交的とかちょっと内向的の人が1番多く(100人中50人くらい)、すごく内向的な人は極端に少ないそう(100人中1人とか)です。

精神的に安定していると「楽観的」、神経症的な人は「悲観的」だそうです。

基本的に脳は楽観的で、その方がうまくいく事が多いそうです。

自我が強すぎるのが「うつ病」で、自我に関係するDMN(デフォルトモード・ネットワーク)の活動を低下させると「自我の溶解」を経験してうつ病が良くなるそうです。

同調性とは「集団の圧力による反応のばらつき」の事です。

同調性の強い人は組織に従順で、同調性の低い人は組織に反抗するそうです。

共感力とは別の概念だそうです。

同調性の本質はアイデンティティ(正しい場所に所属していること)で、自分が場違いだと感じたり、仲間外れにされると、脳は殴られた時と同じような反応をするそうです。

同調性が極端に低い人は、普段社会の片隅に追いやられたりしますが、時代によっては戦争や内乱の中で「正義」を貫く事ができるそうです。

共感力とは、相手と感情を一致させる能力の事です。

女性は共感力が高く、男性は低いのですが、この能力が低すぎると人生が困難になるそうです。

共感といっしょくたにされがちな、「メンタライジング」は、他者の心を推察する能力です。

これが欠けているのが自閉症で、アスペルガーが共感力が高くメンタライジングが低く、サイコパスはメンタライジングが高く共感力が低いそうです。

この本では、サイコパスは普通の男のパーソナリティだと主張されていますが、実際に社会的経済的に成功できるそうです。

ここでのサイコパスは「異常犯罪者」とは全く別物ですので、ご注意を。

共感力も高ければいいというものでもなく、自分を犠牲にして他人に尽くしてしまったり、他者の苦痛に敏感に反応してしまったりするそうです。

堅実性とは、「衝動を抑えられる」つまり自己コントロール力(自制心)の事です。

堅実性が低いと、ギャンブル・アルコールなどの依存症になる確率が高いとされています。

ADHDは、肥満や依存症の問題を抱えることが多いそうで、アメリカでは脳内のドーパミンを増やす治療薬が処方されているそうです。(効果については賛否両論)

意志力は消耗品で、何かの作業で意志力を消費すると、減ってしまって意志力を使えなくなって(自我消耗)しまいます。

自我消耗すると、悲しい、楽しいなどの気持ちがより強く現れ、欲望も強く感じるそうです。

それによって、例えばダイエットで食べたいものを我慢していると意志力が減って、ますます食べたくなって、といった事が起こるそうです。

意志力も使いすぎると勉強や練習の成果が落ちてしまうそうで、意志力が高すぎると努力しすぎて老化が早まる可能性もあるそうです。

難しいですね、高すぎず、低すぎないくらいがいいそうです。

そして、ADHDは堅実性が極めて低いですが、男性に多く、激動の時代を生き抜くのには有利なパーソナリティで、安定した今の社会でこそ障害とされていますが、革命家や英雄などに向いているタイプです。

経験への解放性は、「意識というモニタの解像度のばらつき」だそうです。

ちょっとややこしいですが、経験への解放性が高い(モニタの画像度が粗い)のを芸術家に例えると、画家ならピカソ、ダリ、作家だとカフカ、トマス・ピンチョンなどだそうです。

経験への解放性が低い(モニタの画像度が高い)のは、裁判の判決などのように、誰が読んでも理解できるように書かれた文章などだそうです。

言語的知能の高い子供は新奇性(新しい体験)に興味を持つようになるし、言語運用能力が低いと、世界を脅威と感じてしまい保守的になるそうです。

経験への解放性の本質とは、想像力(イマジネーション)で、優れた芸術家は、成功する可能性が高いが、精神疾患の発症リスクもあるそうです。

人類はどんな環境でも生き残れるようにしているため、パーソナリティは個体差があるようです。

また、外見が美しいパーソナリティは、人気があり優秀で実際に頭がいいことが多く、有利だそうです。

パーソナリティの遺伝率は50%で、知能、音楽やスポーツの能力も遺伝率は80%近いそうです。

遺伝子の影響は思ったよりも強いですね。

子供の人生を左右するのは、親の子育てではなく、むしろ子供集団の中でどんなキャラ(役割)を演じるかだそうです。

また、セルフモニタリング(自分が他人からどう見られているかを観察する能力)が高ければ、社会で上手くやっていけそうですが、低くても一貫性がある人物と見られたりするそうです。

どの能力も一長一短あるのがおもしろいところですね。

ちなみに、今の知識社会で最も有利なパーソナリティは「高い知能」「高い堅実性」「精神的安定性」だそうです。

結局のところ、自分のパーソナリティにあった場所を探して、そこで生きていくのがいいようです。

この本は「ビッグファイブ」をもとにしていますが、私も聞いた事があっても内容は知らなかったので、この本を読んで初めて詳しい内容を知りました。

本では「ビッグファイブ」に知能と外見をプラスして、「協調性」を「同調性」と「共感力」に分けているのですが、確かに今の日本では「知能」でだいぶ人生が変わるし、同調と共感はかなり大事な要素ですね。

また、本書では好きな曲で性格がわかるという話もあって、それも興味深かったです。

「ベキ分布」(ロングテール)のグラフについても、あまり他で触れてる本はみた事がないのですが、複雑なのであまり触れたがらないと書かれていて納得しました。

同調性のところでは、他者を支配したいと思いつつ権力に服従する人間の一面について考えさせられました。

ジェームズ・ファロンさんの自分の脳が典型的なサイコパスだと気づいたエピソードが、まるで短編小説のようで、まさに真実は小説より奇なりでした。

ダイエットするには、少しづつ長期的に痩せるか、間食を食べるのを先送りするというのが書かれていましたが、科学的には短期的に意思力でひたすら我慢するのがよくないというのが意外でした。

また、アメリカ人についての考察(長いのでここでは説明できませんが)が魅力的でした。

パーソナリティは中々変えようと思って変えられるものではないそうですが、訓練によって変えられるものもあるそうです。

付録としてビッグファイブの検査がありましたが、検査しなくとも自分のパーソナリティはなんとなく分かりました。

おそらく、この本を読んだほとんどの方がそうだと思います。

あとがきもすごく良かったので、興味がわいた方はぜひ本書を読んでみてもらいたいです。

スピリチュアルズ「わたし」の謎、関連書籍

実はこの本は、「残酷な世界で生き延びるたった一つの方法」と「(日本人)」に続く三部作だそうです。

↑これは紙の本ですが、電子書籍もあります。

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↑これも紙の本ですね、もちろん電子書籍もあります。

では、スピリチュアルズ「わたし」の謎、のまとめです。

  • 8つの特性で性格が科学的に理解できる。
  • パーソナリティは変えられるものもあるが、変えるのは難しい。
  • 自分のパーソナリティに合う場所を探すといい。

すごく長くなってしまったのですが、すごく読み応えのあるいい本なので、心理学などが好きな方にはオススメです。

興味深いエピソードが多いので、一回読んだだけではちょっと消化しきれなかったりする部分があったり、詳しく知りたい部分は関連書籍も読みたくなります。

よかったらビッグファイブについても調べてみてくださいね、では。

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