こんにちは、momonoineneです。
今回は『世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝』と日本の武器(著者:長沼伸一郎)と言う本の内容と感想についてです。
全部で269ページある本で、そんなに分厚くはないんですが、内容は難しい本に分類されると思います。
あんまり万人受けする本ではないのですが、おもしろかったので紹介します。
歴史好きな方、世界がこれからどうなるか興味がある方、にはオススメです。
それでは、どうぞごらんください。
世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器(著者:長沼伸一郎)の内容
とりあえず、電子書籍↑版の方が安かったので、こちらをのせていますが紙の書籍版もあります。
この本の概要(大まかなまとめ)
世界史とこれから向かう未来について、また日本が将来国際社会でどう戦っていけばいいのかがこの本の内容です。
また、理系の視点で見る世界史と言う特徴があります。
本書のタイトルにもある、「現代の見えない皇帝」とは何か?そして、日本の武器とは?
詳しく知りたい方は本書を読んでいただく事として、以下ざっとですが説明します。
「現代の見えない皇帝」とは?
「現代の見えない皇帝」と言うのは、巨大マーケットとメディアの中に発生して世界を一方向に動かそうとする仮想的な権力の事です。
なんのことかわかりにくいと思いますが、いわゆる「GAFA(Google・Apple・facebook・Amazonのこと)」のように一つの分野を一企業が独占するような事が、他の所でも起こってくるということです。
すでに私たちは、地方か都市住みか・老若男女問わず暇な時間ほとんどスマホを見て過ごしていますよね。
こんな風に世界が均一化されていくと、やがて「コラプサー状態(末期状態)」に陥って、実質的に世界史の終焉を迎えるそうです。
かなり端折って説明したのですが、スマホの普及率を考えたら、実際起こりそうで恐怖を感じました。
日本の武器とは?
日本は昔からピンチになると、「理数系武士団」が出現していました。
例えるなら、幕末の維新志士など(大村益次郎など)ですが、武士と理系?と思われるかもしれません。
しかし、独創的な発想の思想家(島津斉彬・勝海舟など)が現れて、その思想を人々に広める伝道者(西郷隆盛・坂本龍馬など)が出現して世の中が変わっていくそうです。
勝海舟より坂本龍馬の方が人気があるのが、おもしろいですよね。
天体力学と西洋思想
ちなみに、理系の視点と書いたのですが、それについては天文力学の「三体問題」について説明されています。
西欧キリスト教世界が持っている、「宇宙は調和するという信仰」に基づいて物を考えると、天文学で調和されていない事(惑星の軌道が楕円とか)が受け入れられなかったりするそうです。
なかなか日本人である私達には盲点ですよね、しかも天文力学は知らない方(私も含めて)が多いでしょうし……
言われてみれば、完全な調和を求める占星術やシンメトリー(左右対称)な庭園・建物は西欧の得意分野という感じがします。
理系の視点で見る世界史と言うのは、生物・化学の話かと思ってたんですが、天文学というのがまた意外でした。
イスラム文明と「微分積分」
イスラム文明についての成り立ちと、重要性が書かれていまして、それが大変おもしろかったです。
中世では、アラビア科学は西欧より高いレベル(世界最高峰)だったとか、西欧発祥の「微分積分」を受け入れる事ができなかったとか知らないことばかりでした。
ちなみに「微分積分」とは、ニュートンとライプニッツが発明したとされていて、微分は細かくして差を考える、積分は細かくして集めるという計算の違いがあるそうです。(ここは本には書かれていません)
本書ではイスラム社会と日本が手を組むという事が提案されていました。
これから私たちはどうすればいいのか
この本では、我々が「歴史に参加する」という意識を持つことでコラプサー化を阻止する力になり得る、という提案がされています。
日本で言えば、「理数系武士団」などが発生し、世の中を動かしていくという感じになるかと思います。
簡単に説明したのですが、なかなか壮大な話ですね。
「世界史の構造的理解〜」 の感想
とにかくおもしろかったです。
現代の「見えない皇帝」について、昔のアメリカの学者トクヴィルの話がおもしろかったので、今度トクヴィルの書いた本『アメリカの民主政治』を読んでみたいです。
「理数系武士団」についてですが、幕末では政府をほぼ無視して連携していったそうですので、私達もこれから政府がなんとかしてくれる、と思うのも良くないのかもですね(選挙には行きますが)。
この本では理系の視点(西洋の天文学など)についても触れられていて、理系でない私には興味深かったです。
他にもルネッサンスと現代が似ているとか、「環境問題」だけで滅びた文明は無い、「エルサレムに聖地が集中しすぎ問題」なども読み応えがありました。
まとめ
では、まとめです。
- 「現代の皇帝」とは世界を一方向に動かそうとする仮想的な権力の事
- 世界が均一化されていくと、「コラプサー状態」になり実質的に世界史の終焉を迎える
- 我々が「歴史に参加する」という意識を持つことでコラプサー化を阻止する
…….なんだか難しい話でしたね、ですが、ちょっとでもこの本に興味を持ってもらえたらうれしいです。
本ではこのブログの説明の何十倍もおもしろいですので、興味がある方はぜひ読んでみて下さいね、では。
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